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座談会なう。「建物」×「金沢」

「建物」×「金沢」

現役JCメンバーがトークする座談会なう。
今回は建築・建物に携わるみなさまにお集まりいただきました。

皆様の仕事について教えてください。

石森
石森木工の石森です。私の祖父が建具屋で、ゼネコンさん100%で商売していました。私の父である現社長が商売の幅を広げ、今は年1棟程度の新築とリフォーム、古民家の再生やお寺さんの仕事を中心しています。
細川
細川建設の細川です。新築住宅がメインで7割ほど、残りは公共工事や店舗です。金沢にあった住宅を建てていきたいという思いでデザインをしていますし、古民家再生なども行っています。
山岸
山岸建築設計事務所の山岸です。建築設計を専門にやっている事務所です。最近は民間の仕事の割合が多くなり、5:5くらいまで来ています。最近では箔一さんの新工場の設計を行いました。生産ラインを全部見直して新しい工場を建てるという難しい仕事でした。公共物件でいうと今は国立近代美術館工芸館の金沢への移転に携わっていて、今は県外の技術者に協力を仰ぎながら進めています。
河上
シナジーコンサルティングの河上です。建物の関係するところでは不動産賃貸業をしております。僕は不動産賃貸業の中でも新しい取り組みをしていて、例えば民泊やシェアハウスなど、空いている物件をどうやって甦らせて有効活用させるかを考えています。
西嶋
新日本ホームの西嶋です。父が創業して店舗の内装からスタートしました。その後はビルや集合住宅を建てて一棟売りをしていましたが、今は木造住宅がメインです。今はパナソニックのグループに加盟し、メーカーよりの高性能な家を建てています。
鶴山
加賀建設の鶴山です。創業74年になります。売上の9割が土木工事で、金沢港を守る工事や日本海側の侵食を防ぐ土木が強く、あとは小松駅の新幹線など土木の方は順調です。建築の方は認知度が低く何か特色を作ろうと思い職人さんと試行錯誤しながらやってきました。おかげさまで二年連続石川建築賞を受賞させていただき、建築家の方には少し認知されてきたと思います。

住宅とコミュニティ

細川
住宅は地域に根差したものと考えていて、地域によって風土も違うし、作り方も違うわけじゃないですか。沖縄行ったら沖縄の家があったりとか、地域に合った家を建てたほうが地域の魅力も上がると思っています。
河上
金沢の家の特徴ってあるんですか?
米田
私は住宅仲介もしていますが、北陸ならではの機能といえばサンルームやトランクルームです。北陸は雨と雪が多いので室内干しやタイヤを収納する機能は必要です。大手の住宅メーカーはそういう機能がないことが多いです。新築を建てるオーナーさんにはそういう提案もします。
鶴山
山岸さんの自宅は金沢が詰まってますよね。
山岸
その分お金はかけています。自分が設計者でもあり建築主でもあるからそれだけの価値はあると思っています。
河上
日本の住宅は耐用年数が短いですよね、アメリカとかオーストラリアでも100年たった物件とかは値段があがったりします。
山岸
高度経済成長期の後が短いだけで。その前は長かった。
細川
工法は戦後ガラっと変わりましたね。
西嶋
昔と今では柱の太さも全然違いますしね。
山岸
家よりも分かりやすいのが人間、離婚率と再婚率が増えれば中古住宅も増える。結局使うのは人間だから、その人間の価値観が変わればハードになる建築も変わるはずです。
鶴山
国立競技場もそうでしたよね。あれ建築家の夢を潰したと思います。いい建築だったんですけどね。
河上
短的な商売目線で作ると10年後20年後の町づくりにはマイナスの面もあります。
山岸
私は野々市に長く住んでいて、そのコミュニティの中で建築をさせてもらっている。
鶴山
コミュニティの良さをちゃんと理解している人が設計すればいい町ができるんですよ。流行りすたりを一生懸命追いかけても長続きしないと思います。
細川
今の金沢の住宅って大体郊外に建てるんですよ。人口は減少していっとるのにどんどん郊外に出てくことによって町中は空洞化していく。
細川
わかりやすいのは大型ショッピングセンター、それが出来たら町ができる。
細川
郊外に大型ショッピングセンターができて、町中が空洞化していくと、地域の特色がだんだんなくなっていくじゃないですか。僕も住宅会社として、そういう町中で建てていく事が本当は大事なんだろうと思います。
鶴山
町はコミュニティです。つながりがなくしてしまったら、町はなくなってしまう。コミュニティデザインはしっかりとしなくてはいけない。つながりがあるからこそ町の歴史がある。
西嶋
でも、若い人はつながりを嫌って町の中にひと区画だけ開いているところには住みたがらない。せめて4区画、もしくは、若い同年代の人たちが引っ越してくるようなところに住みたがる。
河上
震災以降はコミュニティの価値が再認識されてきているのでは?
山岸
平和ボケですね。苦労をしたことがないからコミュニティの価値がわからないんです。
鶴山
町を作ることを若い人は嫌うし、やらないですね。つながりがなくなっている。でも、コミュニティをなくすと本当に人が腐ってくる。
山岸
これは全ジャンル、全部の業種が考えるべき課題だと思う。
河上
僕は、石川に来て町内会や消防団ができていることや神社に寄付する制度などを見て安心感がありました。

金沢らしさとは

羽田
建築で金沢らしさを表現するのは難しいと思う。
鶴山
これからの金沢を考えることはできても、今の金沢が金沢らしいかはわからないですからね。結局、主観でしか話してなくて、客観的に金沢らしさを見ている人はいない。
羽田
答えはいくつもあると思います。金沢らしさを建築で例えようとすると難しい。やっぱり人になってくる。金沢らしさとは人だと思う。雪国である北陸に住む人の精神性が表現できているのではないか。金沢らしい天気とか照れ屋が多いとか。
米田
転勤で金沢に来られて部屋を探している方は最初はネガティブなんです。雪国で天気もどんよりしている。でも、住んでみると定年後は金沢に住みたいと言ってもらえる。これはすごいこと。金沢の住民が一人増えることになる。では、なんでそんな風になるか。食だったり、住み心地だったり。町並みだったり空気感だったりするかもしれないけれど建築物が良というのもあるのではないでしょうか。
羽田
金沢らしさは精神性だと思う。僕は金沢らしさとは何かと聞かれたら遊びだと答える。金沢の文化も町並みも遊びがベースになっている。遊びを形にしている。それが金沢の町並みであったり建築であったり人間性になっていると思う。今の金沢の若い世代に足りないのは遊びだと思う。この遊びをなくして今後の金沢は作っていけないと思う。遊びを知らない人間が金沢の魅力は作れない。京都の建物と金沢の建物は明らかに違う。京都は無骨、金沢は繊細で、外からは見えないのに中からは見える遊び心。雪国だからこそ四季折々の風景を感じられる仕組みがある。金沢の風土に合った建築が遊びを通して作られている。それは金沢らしさだと言えるけど、ベースにあるのは人間性だと僕は思う。
山岸
建物の価値は、時間の上質と空間の上質がないと生まれてこない。家も継承するから時間の価値が生まれる。残っているだけでもダメで、それが上質でなくてはいけない。2つ合わさって本物になる。それをわかる人間がいるかいないかも重要で、今がかっこよければいいわけではなくて、残ってるものがかっこいいわけでもない。残っているものを使いながら今の価値をそこに入れられれば本物の価値になる。今、僕たちがいくらセンス良くても時間が作った価値にはかなわない。
米田
欧米の賃貸は住めば住むほど価値が上がっていく。古くなっても外観は手を加えてはいけないようになっている。住むほどに家賃が上がる。日本ではあり得ないことです。
細川
戦後、占領されている中で作られた建築基準法によって一度これまで日本が培ってきた建築文化を否定することになりました。今の建築基準法では昔の工法で家は建てることはできません。
山岸
当時は戦災があり、生きるために安全性を優先させた。文化価値よりも生きることの方が大切だから仕方がなかったが、今、ようやく自分たちのアイデンティティーを取り戻そうとしている。

自分の仕事を通じて金沢のためにできることや、課題があれば教えてください。

山岸
僕の大学院の先生である水野一郎先生は金沢をずっと見ていて「金沢は産業はないけども、クラフトと文化価値ある。建築的な文化でいうと、バウムクーヘンにように各時代の層があるから金沢の価値が生まれる。僕らが僕らの時代の価値観を作らないと今後の金沢はないだろう。」と言っています。継承しながら新しいものを生み出すというのはすごく大変なことですがそこを乗り越えたら金沢というものが今後も残っていくじゃないかなと思います。
河上
僕は不動産賃貸業で、常にイノベーションをどう起こせるかを考えています。例えば金沢で民泊は誰もやってなかった。新幹線がくるタイミングで過半数のシェアを取っていました。寮みたいな物件とかをシェアハウスにしたら活きてきたり、使われてないものに時代に合わせた発想をもって新しい使い方をすれば価値も生まれるし、一番にやれば儲かるのも確かです。そういったことをこれからも考えていきたい。
鶴山
今は地元を活力のある地域にしたいと思い施設(コッコレかないわ)を作りました。さらにそこから発生して新しいものを作れないかと相談しているところです。おかげさまで今年も形にできそうですし、町にとっては空気を変える力になっていると思います。物事に批判的な人は、人がやることにダメしはするけど当人はやらないんです。でも何かをよくしたいと本当に思うんだったら自分たちがやらなきゃいけないし、行動しなきゃいけない。それを自分に置き換えて、僕は本当に地域をよくしたいと思うから、地域がだめだと思うならまず動かなきゃいけないと思うし、自分が出来ることだと思う。そういう人が増えれば多分おのずとよくなっていく。僕は行動に尽きると思っています。
石森
去年今年と社員を採用したのですが、若い子が一生懸命頑張っている姿を見て、この子達が自信をもって金沢に住んでいてよかったなと言えるように、仕事をあげて、給料や休みをちゃんとあげて、自分のやっていることに誇りと自信をもてるようにしたいと思いました。木を通じて金沢の人、金沢の建物に触れて、金沢の良さ、建築の良さを感じてほしい。そうすることが草の根的ではありますが、今後の金沢を支える若者を増やすことになると思います。
西嶋
松下幸之助は「住まいは人間形成の道場である」という言葉を残しています。それを作る立場として、いいものを供給しなければいけないと思っています。空洞化を防ぐために町中に住宅を建てる人を増やすお手伝いとして、うちの技術を生かした木造三階建てを提案していきたいと思っています。町中の狭い土地でも狭苦しい家ではなくゆったりした住環境を供給したいという思いからです。今思うとそういう社会的な課題に対して自分が何をできるかを考えるきっかけになったのは金沢JCかなと思います。
細川
金沢は都市と違って、昔ながらの町並みとか工芸とか文化が残っている町です。新幹線が通ったことで観光客が増え人気もあります。ほかの地域との違いっての大事にしてかなきゃいけない。住宅でいうと大手のハウスメーカーがどんどん建てていくことは全国どこも同じような町を作っているっていうとこなんですね。建築業者としてはお客様に合ったものを建てなきゃいけないってのはあるんですけど、その町並みを守るのは建築業者しかいないんで、大切にしていきたいし、新築を立てるにしても、金沢にあった建物というのを大切にしていかなければならないなと思っています。
米田
住まいって人生において多くの時間を過ごす場所だと思うんですね。皆さん建設、おうちを立てるって仕事の方多いと思うんですけども、どれだけいいものがたってても、そこに住む人がいなければ成り立たないことなので。じゃあ自分の仕事で何ができるかと考えてみたんですけど、金沢っていいな、金沢に住みたいなって思ってくれる人を増やすお手伝いができるんじゃないかと思っています。金沢の土地を知らないお客様のお部屋探しのお手伝いをさせていただく中で金沢の魅力を発信するチャンスがあると思うんです。金沢は食や町並みのよさを伝えて、実際に住むための物件を提供して、そこで本当にいいなと思ってくれれば、金沢に移り住もうという人が増えるんじゃないかなと。金沢に住む人を増やすお手伝いができる仕事かなと思うんですね。だからもっともっと金沢の魅力を発信できるように社員を育てていきたいと思っています。
羽田
自分にとっての建築というもの、そしてこの業界の先を色々考える中で、金沢の町並みを残すことも、地域の発展も、自分たちの商売も、全部やっぱり人にあるなって思っています。じゃあ自分たちが今後この金沢でこの商売で生きていくために、ここに住む人たちにどういうインパクトを与えていくことが大事なのか。この金沢を残しつつ自分たちも生き残っていかなければならない。ここに住んでいる自分たちがこの金沢をちゃんと知ることも大事だと思うし、知って尚且つ、自分たちの仕事を通して形にしてかなきゃいけないと思っています。創業してまだ9年目ですが、この金沢を本当に残そうと思うと、ビジネスと、金沢の文化・精神性を両輪で考えないといけないんじゃないかなと思ってます。今後、東茶屋街、西茶屋街とか主計町に匹敵するような町並みはできないかもしれないけれど、次に必要なのは金沢の人間らしい部分なんじゃないかな。そこに魅力を感じて来てくれる人がどんどん増えて、この金沢が潤っていけば自分たちの商売にも繋がっていくんじゃないかなってそう思います。

夢の広がる熱いお話をありがとうございました!